第5話 ふくよかふくおか
今日は同業者の現場に来ている。忙しくて人が足りないと言う事での応援だ。朝から、水畑航大という今年20歳になった若者といっしょに作業をしていたが、10時になったので休憩に入った。
煙草を吸いながら彼は、「岩山さん聞いてくださいよー。オレこのまえ名古屋の風俗行ったんすけど、びっくりしましたよー」と、魚の様に目が離れた顔を少し歪めた。
彼は高校卒業と同時に自衛隊に入ったのだが、1年ちょっとで嫌になり、この会社に入ってきた。彼の話を聞いていると、風俗がめっぽう好きで、それにかけるお金には糸目をつけないようだ。
「『皇帝+九州北部の県名』っていう店に行ったんすけど」と、その時の様子を語り始めた。
「上に乗られた時は、腰が砕けるかと思いましたよー」と、ため息をつきながら、彼は煙草の煙も一緒に、吐き出した。
吸っていた煙草を地面でもみ消しながら「店の名前は、皇帝+九州北部の県名、だったんすけど・・・」
「相手をした女は、『イベリコブタふくよか』って感じでしたよー」
私はおもわず「うまい!」と叫び、拍手を送った。
彼は吸い殻を携帯灰皿に押し込み、「今週の土曜日、岐阜の風俗へ行ってこようかなー」と呟いた。魚の様に目が離れた彼の顔を窺うと、すでに『そのこと』を想像しているのか、少しにやけていた。