第15話 汗
神子秀雄と知り合って30年ほどになる。
私と年齢が同じで、職業も同じ建設関係。一般にいう土建屋だ。
勤める会社はお互い違うのだが、会社同士が協力関係にあり、ここ数年は工事現場で一緒になることが多い。
「シューちゃん、そこの高さを確認してみよう」
「はいよ、ヒデちゃん。それにしても毎日暑いね~」
まだ5月だというのに真夏並みの暑さが続いている。
私は汗っかき体質なので、額から噴き出した汗が目に入るのを防ぐため、一年中タオルを額から頭に巻き、その上にヘルメットをかぶっている。
神子秀雄はあまり汗をかかない体質なのか、夏でも涼しい顔をしている。
そんな彼だが今日はめずらしく額に汗が光っていた。
「今日は暑いな~、汗かいちゃったよ」と彼は言いながら、ポケットからハンカチを取り出し額の汗をぬぐった。
「ハンカチ王子か」私は思わずツッコミを入れた。
汗をハンカチで拭う土建屋なんて見たことがない。
いや、いま初めて見た。