第6話 ホームセンター
「リョウはネー、お店に買い物に行くと直ぐに一人でどこかへ走って行っちゃうんだよー。リョウにはリョウの目的があるんだろうけど、わたしが困って探してもなかなか見つけられないのよねー。まさかリョウの名前を叫んで探す訳にもいかないし、うろうろしていると、リョウの方からトーモちゃーんと叫ばれちゃって。わたしは恥ずかしいから、小声でリョウちゃん、どこーって言いながら探すんだけど、広い店内じゃなかなか見つけられず、困るのよー」
妻の知美は、助手席で化粧を直しながら、一気にしゃべった。私は、ハンドルを操作しながら、妻の横顔をチラッと見たが、表情に困った様子は窺えない。
『リョウ』というのは孫の児島亮太朗くんの事で、妻は孫をそう呼んでいる。妻は続けて、先日孫と二人でホームセンターに買い物に行った時の事を話し始めた。
「でねー、あの子誰とでも平気で会話するのよねー。誰に似たのか」と言いながら、「この前もレジで会計をしているときに、レジのおばさんに、ボク何歳?なーんて聞かれたら、右手の指を4本立てて4歳になったばかりって答えたの。そしたらレジのおばさんが、4歳にしては大きいわねー、なんて言うもんだから、リョウったら、身長は大きいけど、体重は少ないよ、だって。わたし困って、おもわず他人のフリしたくなったわよー」って言うから、え、なぜ?と聞くと、
「だってそのおばさん、どう見ても、体重少なそう、じゃなかったんだもーん」と、ニコニコしながら話す表情には、やっぱり全く困った様子は窺えなかった。